子どもの7人に1人が「貧困」の状態であることから、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないようにと、札幌市は2017年度での「子どもの貧困対策計画」の策定をめざしています。貧困は、子どもの最善の利益が保障されていないことに他なりません。当事者や支援者の視点で貧困対策計画を捉えるため、連続講座を開催しました。
第1回 子どもの居場所、学ぶ場所、そして今
子ども・教育プロジェクト 奥田 恭子
孰賀紀美恵さん(子どもの居場所を考える会)をコーディネーターに、相馬契太さん(訪問と居場所 漂流教室)、工藤慶一さん(北海道に夜間中学をつくる会)の対談を行いました。相馬さんは、訪問と居場所という方法で子どもたちに寄り添っています。学校に行かないと学ぶ機会がないという、今の日本のシステムの不備を指摘されました。
工藤さんは、17年2月「教育機会確保法」が施行され、年齢、国籍にかかわらず教育を受ける権利が認められたことは大変意義がある、より充実したものとなるよう次回見直しに向けて活動していきたいと話されました。
第2回 貧困てなんだろう?
代理人 石川 佐和子(札幌市)
第1部 当事者から学ぶ
深堀麻菜香さん(大学生)は、子どもの学習支援などのボランティアとして活動しており、支援者などとつながることの重要性について話されました。松島周子さんは、DVにあう中で子育てをした経験から、日頃の近所付き合いが支援につながると話されました。
第2部 札幌市子どもの権利条例と子どもの貧困対策計画について
佐々木一さん(札幌市子どもの権利条例市民会議代表)からは、審議会等への子どもの参加、子どもの権利委員会子ども部会の新設等の提案がありました。渡辺孝之さん(札幌市子ども未来局子どもの権利推進課長)からは、現在策定中の札幌市子どもの貧困対策計画の基本施策について説明がありました。子どもの権利条例の意義を4名の報告を受けて、改めて確認することができました。
◆2月のパブコメに意見を!
札幌市子どもの権利条例には、子どもが家族の状況を理由とした不当な不利益を受けないことや学び、休息する権利があることが明記されています。学ぶ機会を奪われることは、人間の尊厳にかかわるとともに貧困の連鎖につながる可能性があります。
子どもたち誰もが安心して自分らしく豊かに生きていくうえで、人と人とのつながりが欠かせません。札幌市子どもの貧困対策計画が、子どもの権利を真に保障するものとなっているのか、市民の視点で検証し、2月に予定されているパブリックコメントに意見を出していきましょう。