アイヌ民族の尊厳の回復を

視察報告 5月3日

北海道博物館(札幌市)ではアイヌ民族の7体の遺骨と2点の副葬品を保管しています。道は国のガイドラインに沿って遺骨等の取扱方針を定め、遺骨等の地域への返還に取り組んでいます。2007年に採択された「先住民族の権利に関する国際連合宣言」には、遺骨返還が権利として明文化され、先住民族の遺骨返還は世界的にすすんでいます。アイヌ民族の歴史などを改めて確認するため函館市北方民族資料館等を視察しました。

北海道では、縄文時代の後の続縄文文化(擦文文化)の時代に、アイヌ文化に移行しています。アイヌ民族は漁狩猟や植物採取を主な生業にし、他の地域との交易を行いながら、暮らしていましたが、15世紀以降、後から移住してきた倭人により、アイヌ民族の古来の風俗、習慣は禁じられ、明治時代には土地や資産が剥奪され、強制移住させられました。また、遺骨は、大学の研究者などによって研究対象とされ、アイヌの方々の意に反して発掘・収集された歴史があります。北海道博物館が保管している遺骨等は公開された資料によると、1970年代、80年代に個人から一括して受け入れたとのことです。返還の申し出がない遺骨等は白老の慰霊施設で保管されますが、アイヌの方々は再び研究対象になるのではと危惧しています。国による謝罪のない取り組みにより、今も、アイヌの方々への人権侵害が続いており、アイヌ民族の尊厳の回復が急務です。

代理人 石川 さわ子(北海道議会議員)

函館市縄文文化交流センター

垣ノ島遺跡

大船遺跡

函館市立博物館

函館市北方民族資料館