国立市景観裁判から
上原公子さん(元国立市長 1995~2003年)は景観保護を公約として市民とともにその実現に取り組みました。しかし、16年12月、上原さん個人に約4,500万円もの賠償金の支払いが確定しました。首長の活動等に著しく萎縮をもたらすことが強く懸念されるこの度の裁判から地方自治のあり方を考える市民フォ―ラムを開催しました。上原さんの基調講演、神原勝さん(北海道大学名誉教授)をコーディネーターに上田文雄さん(前札幌市長)とともにパネルディスカッションを行いました。
・裁判の発端は91年にJR国立駅前大学通り沿いに44m(14階建て)のマンション建設計画が浮上し、市民による建設反対運動が起きたことでした。2000年、市は、景観を守るために、議会の議決を経て、高さを20m以下に制限する条例を制定しました。マンションは完成しましたが、建主は損害を受けたとして市を提訴し賠償を命じる判決が確定(建主は市へ寄付)。その後、市長の交代や議会議員構成が変化する中、住民監査請求から住民訴訟に進み国家賠償法にもとづく求償裁判となり、元市長の上原さん個人に賠償を負わせた高裁の判決が確定しました。神原さん、上田さんから、監査請求・住民訴訟の意義や自治体として決定したことの政策責任を誰が負うのか(二元代表制と首長・議会の責任)、地方自治に対する司法のあり方などの課題を提起していただきました。市民は、まちづくりを首長や議員にお任せにするのではなく、主体的に参加することが大切であることを再認識し、改めて地方自治とは何かを参加者とともに考えることができました。
代理人 干場 芳子(江別市)
※国家賠償法 公務員に故意又重大な過失があった時は、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。