札幌市子どもの権利条例制定から10年となります。子どもが安心して、自分らしく生きることができるまち・札幌をめざし現状と課題を共有するため、フォーラムを開催しました。基調講演「子どもの権利が尊重されるまちに-ヤヌシュ・コルチャックの思想と実践に学ぶ-」(講師・塚本智宏さん、東海大学札幌キャンパス教授)に続き、アンケート報告、また、松倉聡史さん(名寄市立大学教授)、上田文雄さん(前札幌市長)、石川さわ子によるパネルディスカッションを行いました。
講演で、塚本さんは「コルチャックは、小児科医、孤児院院長、作家として活躍したユダヤ系ポーランド人で、生涯、子どもの権利を探求しました。コルチャックのメッセージ『子どもにではなく、子どもと』は、子どもに向き合う時の基本姿勢として一番大事なことです。現在、ポーランド政府は、子どもオンブズマン庁を設置、権利の認知が広がっています」と話されました。
パネルディスカッションでは、松倉さんから「日本が子どもの権利条約を批准してから25年。しかし、従来の子ども観から転換できていないのは、権利条約の中核にある意見表明権や参加する権利への理解が不足しているからです。自治体は、子どもの権利条例制定や相談機関設置等をしていますが、いじめ、不登校、虐待などは減少していません」と指摘がありました。上田さんは「条約の根源は民主主義です。市長として条約を自治体で深めようと子どもの権利条例制定に取り組みました。意見表明権は重要です」と話されました。コルチャックの理念をもとにつくられたユニセフの「子どもにやさしいまち」を広げていくことが必要です。